ピラティスの消費カロリーは?1時間あたりの数値を他運動と比較

    ピラティスの消費カロリーは?1時間あたりの数値を他運動と比較

    「ピラティスを始めたら痩せる?」「1時間あたりの消費カロリーは、ランニングと比べてどうなんだろう?」—ダイエットやフィットネスに関心がある方なら、こうした疑問をお持ちではないでしょうか。ダイエットを考える上で、運動の消費カロリーは重要な指標です。

    この記事では、まずピラティスの消費カロリーをMETs(メッツ)という運動強度の指標を用いて具体的に数値化し、ヨガやランニングなど他の運動と比較します。正直にお伝えすると、運動中の消費カロリーだけを見れば、ピラティスは特別高いわけではありません。

    しかし、ピラティスを始めた多くの人が体型の変化を実感しているのも事実です。その秘密は、カロリー消費という短期的な視点だけではなく、「基礎代謝の向上」という身体の根本的な変化にあります。これは、「運動していない時間」をもダイエットタイムに変えるアプローチと言えるでしょう。

    この記事を読めば、ピラティスがなぜダイエットやボディメイクに効果的と言われるのか、その論理的な理由がわかります。運動中のカロリー消費だけでなく、痩せやすい体質へと根本から変えていくピラティスの真価に迫ります。

    目次

    ピラティスの消費カロリーはどれくらい?他の運動と比較

    まず、多くの方が気になっている「ピラティスの消費カロリー」について、客観的なデータに基づいて解説します。他の運動と比較することで、ピラティスの立ち位置が明確になります。

    METsを使った消費カロリーの計算方法

    運動による消費カロリーは、「METs(メッツ)」という運動強度の単位を使って計算するのが一般的です。METsは、安静時を1としたときに、その活動が何倍のエネルギーを消費するかを示す指標です。これは体重1kgあたりに取り込まれる酸素量を指標とするものですが、わかりやすくメッツという単位で表されます。

    消費カロリーの計算式は以下の通りです。

    消費カロリー(kcal) = METs × 体重(kg) × 時間(h) × 1.05

    厚生労働省の資料などによると、ピラティスの運動強度は「3.0 METs」に分類されます。これは、ウォーキング(普通歩行)やバレーボール、ボウリング、社交ダンス(ワルツ・サンバ・タンゴ)、太極拳などと同程度の強度です。日常生活では、平地をやや速めに歩く、電動アシスト自転車に乗る、家財道具の片付けといった活動が同等の3.0 METsとされています。

    この式に当てはめて、体重50kgの人が1時間ピラティスを行った場合の消費カロリーを計算してみましょう。

    3.0 METs × 50kg × 1時間 × 1.05 = 157.5 kcal

    つまり、体重50kgの人であれば、1時間のピラティスでおよそ160kcalを消費する計算になります。これは、コンビニのおにぎり1個分や、ごはんお茶碗1杯分(約100g)とほぼ同じカロリーです。30分のピラティスを行った場合、約80kcalを消費することになり、これは卵1個分のカロリーに相当します。

    体重が異なると消費カロリーも変動し、例えば40kgの人では約126kcal、60kgの人では約189kcal、70kgの人では約220kcalが目安となります。また、一般的に男性は女性よりも筋肉量が多いため、消費カロリーは高くなる傾向があります。

    【比較表】ピラティス vs 他の運動|カロリー消費量を一覧チェック

    では、ピラティスの消費カロリーは他の運動と比べてどうなのでしょうか。体重50kgの人が1時間行った場合の目安を比較表にまとめました。

    運動種目METs(活動強度)1時間の消費カロリー(体重50kgの場合)補足
    ピラティス3.0約158 kcal (約160 kcal)体重50kgで約160kcal。運動強度により100~200kcal程度の幅がある。
    ヨガ(ハタヨガ)2.5約131 kcal一般的なヨガレッスンは2.5 METs。パワーヨガでは約230kcal消費される場合もある。
    ウォーキング(普通歩行)3.0約158 kcalピラティスと同じ程度の運動強度。ゆっくりとした歩行では2 METsで約100kcal。
    マシンピラティス(目安) 6.0約300 kcal (200~400kcal)マットピラティスより強度が高く、体重60kgで約300kcal、平均で200~400kcalが目安。
    ジョギング7.0約368 kcal
    ランニング(時速8km)8.3約436 kcal
    水泳(クロール)11.0約578 kcal
    筋力トレーニング(目安) 6.0約200~300 kcalアウターマッスルを鍛えるウェイトトレーニングは1時間で200~300kcal程度。

    ※METsは活動内容や個人の運動強度により変動します。

    この表からわかるように、ピラティスの消費カロリーはヨガよりは少し高いものの、ジョギングや水泳、高強度の筋力トレーニングといった運動と比較すると、決して高くはありません

    事実:運動中の消費カロリーは多くない

    データが示す通り、ピラティスは運動中のカロリーを大量に消費することだけを目的としたエクササイズではありません。もともと負傷兵のリハビリテーションから発展した歴史からもわかるように、身体機能を改善し、身体の深層部にあるインナーマッスルを整えることに主眼が置かれています。

    脂肪1kgを減らすには約7200kcalの消費が必要とされています。ピラティスだけでこのカロリーを消費しようとすると、体重50kgの人が1時間で約160kcal消費するとして、約45時間ものピラティスが必要になり、非常に長い時間がかかってしまいます

    「それなら、ピラティスはダイエットに向いていないの?」と思うかもしれません。しかし、話はここで終わりません。ピラティスの本当の価値は、この「運動中の消費カロリー」という指標だけでは測れない部分にあるのです。

    カロリー消費以上に重要!ピラティスで「痩せやすい身体」になる4つの理由

    ピラティスの運動中の消費カロリーは多くないと述べましたが、それでも多くの人が「体型が変わった」「痩せた」と実感するのはなぜでしょうか。その答えは、ピラティスがもたらす「痩せやすく、太りにくい身体への体質改善効果」にあります。

    理由①:インナーマッスル強化で基礎代謝を底上げする

    ピラティスは、身体の深層部にある「インナーマッスル」を重点的に鍛えるエクササイズです。インナーマッスルは、骨格や内臓を支え、正しい姿勢を保つために24時間働き続けている筋肉であり、普段の生活では鍛えることが難しく衰えやすいという特徴があります。

    このインナーマッスルを鍛えることで筋肉量が増え、生命維持に必要なエネルギーである「基礎代謝」が向上します。基礎代謝が上がると、運動していない安静時や睡眠中にも消費されるカロリーが増えるため、日常生活を送るだけで自然とカロリーを消費しやすい、いわば「燃費の良い身体」に変わっていくのです。

    これは、運動している時間だけでなく、「運動していない時間」をもダイエットタイムに変えるアプローチであり、ピラティスが長期的な体型維持に貢献する大きな理由です。体幹深部のインナーマッスル(多裂筋・腹横筋・骨盤底筋群など)を鍛えることで、この「省エネ発熱システム」が強化され、1日あたり30〜50kcal、1ヶ月で1,000kcal以上の追加カロリー消費が期待できると言われています。

    理由②:姿勢改善で見た目のスタイルが変わる

    インナーマッスルは「天然のコルセット」とも呼ばれ、背骨や骨盤を正しい位置で支える重要な役割を担っています。ピラティスでここを強化すると、猫背や反り腰、巻き肩、ストレートネックといった崩れた姿勢が改善されます。

    姿勢が整うと、ぽっこり出ていた下腹が引っ込み、背筋が伸びることでバストアップやヒップアップにも繋がります。内臓も本来の位置へ戻るため、下腹部がフラットになる効果も期待できます。体重や体脂肪の数値は変わっていなくても、身体のラインが美しく整うことで、見た目の印象が劇的に変わるのです。ウエストが数センチ細く見えるというケースも少なくありません。身体の各部位が正しい位置を覚えることで、体型が見違えるように変化するでしょう。

    理由③:胸式呼吸が脂肪燃焼とメンタル安定をサポートする

    ピラティスでは、「胸式呼吸」という独特の呼吸法を重視します。この呼吸法は、肋骨や肩甲骨の動きを意識しながら行うもので、交感神経を優位にし、身体を活動的なモードに切り替える働きがあります。

    交感神経が刺激されると、アドレナリンが分泌され、脂肪細胞から脂肪酸が放出されやすくなるため、脂肪燃焼をサポートする効果が期待できます。また、背骨を丸めたり伸ばしたりする多方向の動きが血流を改善し、脂肪酸がエネルギーとして利用されやすい環境を作り出すこともわかっています。

    さらに、呼吸に意識を集中させることは、心身をリラックスさせ、ストレスを軽減する効果もあります。ストレスは過食やホルモンバランスの乱れを引き起こす一因となるため、メンタルが安定することで、ストレスによる暴飲暴食を防ぎ、ダイエットの成功率を高めることにも繋がります。ピラティスなどの運動を行うことで「幸せホルモン」と呼ばれる脳内物質が分泌され、精神面を整える効果があるとも言われています。また、ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌を抑え、内臓脂肪の蓄積を防ぐ効果も期待できます。

    理由④:継続しやすさが結果につながる

    ジョギングや高強度の筋トレは消費カロリーが大きい反面、身体への負荷も大きく、続けるのが難しいと感じる人も少なくありません。一方、ピラティスはもともとリハビリがベースのため、関節への衝撃が少なく筋肉痛も軽いため、無理なく自分のペースで続けやすいのが大きな魅力です。身体的な不安がある人や運動が苦手な人でも比較的簡単に取り入れられる運動として知られています。

    どんなに効果的な運動でも、続けなければ身体は変わりません。ピラティスは「継続のしやすさ」という点において非常に優れており、コツコツと続けることで、着実に体質改善とボディラインの変化を実感できるのです。週2〜3回を無理なく習慣化しやすいのも大きな利点です。

    ピラティスのダイエット効果を最大化する3つの秘訣

    ピラティスのダイエット効果を最大化する3つの秘訣

    ピラティスがもたらす体質改善効果を理解した上で、その効果を最大限に引き出し、理想の体型を手に入れるための3つの重要なポイントをご紹介します。

    秘訣①:創始者も語る「継続」の重要性

    体型が変わる人に共通している最も重要な点は、「ピラティスを継続していること」です。ピラティスの創始者であるジョセフ・ピラティス氏は、次のような言葉を残しています。

    「10回のセッションで気分が良くなり、20回のセッションで見た目が良くなり、30回のセッションで完全に新しい身体が手に入る」

    この言葉が示すように、ピラティスは回数を重ねることで、より深く、確実な効果を実感できるエクササイズです。効果を実感するまでの目安期間は約3か月と言われています。まずは闇雲に頑張るのではなく、初心者は週に1〜2回、慣れてきたら週3~4回など、無理のないペースで続けることを目標にしましょう。1ヶ月、3ヶ月、半年と続けるうちに、心と身体の変化に気づくはずです。30分40分の短いセッションでも、集中して継続することで十分な効果を得られるでしょう。

    秘訣②:食事管理を組み合わせて摂取カロリーを意識する

    ピラティスが痩せやすい身体を作るとはいえ、ピラティスだけで大幅に痩せるのは現実的ではありません。やはりダイエットの基本は「消費カロリー > 摂取カロリー」のバランスです。

    ピラティスの効果を最大限に活かすためには、適切な食事管理を組み合わせることが不可欠です。ただし、極端な食事制限は代謝を低下させ、リバウンドの原因になるため禁物です。一旦痩せても、必ずリバウンドしてしまい、ダイエット前よりも状態が悪い体になってしまう可能性もあります。

    タンパク質やビタミン、ミネラルなど、身体に必要な栄養素をバランス良く摂取しながら、摂取カロリーが消費カロリーを上回らないように意識することが、健康的に理想の身体を手に入れるための鍵となります。食事の際は、肉やお米よりも先に野菜を食べるなど、食べる順番を意識することも血糖値の急上昇を抑えるのに役立ちます。精神面が安定することで、ストレスによる暴飲暴食を防げる効果も期待できます。

    秘訣③:質の高い指導で効果を最大化する

    ピラティスは、正しいフォームと身体の使い方で行って初めて、インナーマッスルに的確にアプローチできます。自己流や見よう見まねで行うと、効果が半減するだけでなく、かえって身体を痛めてしまうリスクもあります。

    特に初心者のうちは、専門知識を持つインストラクターがいるスタジオで、質の高い指導を受けることが非常に重要です。自分の身体のクセや改善点を的確に指摘してもらうことで、安全かつ効率的に効果を実感できます。長く続けている人も、定期的にプロの客観的な視点を取り入れることが大切です。

    中でも、専用のマシンを使って行う「マシンピラティス」は、バネのサポートによって身体の正しい使い方を学びやすく**、また負荷を細かく調整できるため、インナーマッスルへより効果的にアプローチできます。マシンピラティスはマットピラティスと比較して運動強度が高く、マットピラティスが体重55kgで約170kcalに対し、マシンピラティスは同じ条件で約300kcal(1時間あたり約200~400kcal)を消費すると言われています。基礎代謝向上への近道として、マシンピラティスを検討してみるのも良いでしょう。

    まとめ:消費カロリーだけじゃない!ピラティスで賢く理想の身体へ

    今回は、ピラティスの消費カロリーと、それがダイエットやボディメイクにどう繋がるのかをデータに基づいて解説しました。

    最後に、この記事の重要なポイントは以下のようになります。

    • ピラティス1時間の消費カロリーは約160kcal(体重50kgの場合)で、ウォーキングと同程度です。ランニングなどと比べると高くはありません。マシンピラティスはより強度が高く、約300kcal(200~400kcal)を消費する目安です。
    • ピラティスの真価は、**インナーマッスル強化による「基礎代謝の向上」**にあり、運動していない時間も痩せやすい体質へと変えていきます。
    • 姿勢改善による見た目の変化 や、胸式呼吸による脂肪燃焼サポート、メンタル安定による過食防止も、ダイエットを強力にサポートします。
    • 効果を最大化するためには、①創始者の言葉にある「継続」を意識すること、②適切な食事管理を組み合わせること、③質の高い指導を受けることの3つが不可欠です。

    ピラティスは、目先のカロリー消費を追い求めるのではなく、身体の根本から整え、長期的かつ健康的に理想のボディラインを作るための自己投資と言えます。

    もしあなたが、ただ体重を落とすだけでなく、しなやかで美しい身体を手に入れたいと考えているなら、まずは専門スタジオの体験レッスンに参加し、ピラティスの奥深さを実感してみてはいかがでしょうか。

    この記事を書いた人

    小さいころからスポーツが大好きで、大学ではスポーツ系の学部を専攻し、そこでピラティスを中心としたフィットネスに目覚める。
    普段は銀行員として働いているが、将来は自分でフィットネススタジオを始めたいと思い、今はフィットネスを勉強中!
    昨年、自身の経験したピラティスに関する知見を少しでも多くの方に伝えたいと思いこの「ピラティスLIFEブログ」を開設!
    今までフィットネスを勉強してきたので、フィットネスのプロ目線でピラティスの魅力をお伝えします☆

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